大宮・御蔵の家
WORKS
「土間で町並みと結ぶ板塀の家」
陽気に誘われて庭に立ち、土をいじり草芽をいとおしむとき、土にまみれた手で汗をぬぐうとき、周囲の世界は光と土と草木で包まれているような喜びを感じる。床をれんがで、壁を板材で、というこの住宅の素材の選択は、そのような世界を求める気持ちによる。
土に親しむ気持ちは、土間から小さなテラス、庭、さらに町並みへと結ばれる連続した路地状の空間に求められる。れんがを網代に張り、庭、路地と下足で往来する土間は、この家の中心であり、各部屋はそれを取り囲んで配置された。2階の居間、食堂、子供室は吹抜けにより土間と結ばれ、1階の寝室、客間も土間と庭に面し、土と緑に親しむ。浴室、倉庫、駐車場なども、作業性を考慮して土間の周囲に配置した。子供たちが飼育しているハムスターも運動場にして走り回っているようである。
各空間を囲む壁と開口部は木質として、檜板張り、木製加茂サッシュ(既製品)を使用し、軒樋も隠し樋として木部の一部とした。とりわけ板塀は、小さな庭を取り囲み、樹木と同化する小宇宙の形成を期待する願望である。視線の遮断と風の通過には配慮したディテールとしたが、透けた板塀は外から庭の緑を垣間見させ、床のれんがとともに、町並みの景観に浸透して和やかさを与えている。
所在地
埼玉県さいたま市
用途
住居
敷地面積
272.24㎡
建築面積
140.60㎡
延床面積
242.51㎡
構造
木造、地上2階建
竣工年
1993年
受賞歴
‘94 大宮市都市景観賞受賞


△ディテール 冬季号123 1995-JANUARY